■第二話/粉川のミズシ
粉川の観音様の下に、今はないけどサブクロて家があったてが、そこにチンコかなんか馬がおって、夜さり、河原田川の淵に出ておった。そしたらミズシや馬のしっぽをひっぱったげ。馬やびっくりして走ったところ、ミズシやつながったままあがってきたげ。家のもんやさわぎに気が付いて出てみると、「どうか、助けてください。わたしゃ、ここの淵に住んどるミズシで、兄弟三人でおるげわいね」と言うたと。
そこで、今でも正月になると、玄米と糀とをまぜたもんをつとに入れて
「ひとつは粉川淵、ひとつは亀淵(かめふち)、ひとつは杉平淵(すぎひらぶち)!」て、ほうると、くるくるともうてて話や。
もうひとつ粉川寺の仁王像にまつわる話を紹介しよう。(*出典;「輪島の民話、p.55」) 後掲の写真4はその仁王像で、本堂に向かって右手に立つ「阿像」である。
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